
MLBのドラフトって、日本とどう違うの?

今日はMLBドラフト制度を徹底解説だ!

一見シンプルに見えるMLBのドラフト制度。しかしその裏側には、「契約金の上限なし」という自由さと、「スロットマネー」「ボーナスプール」「ロッタリー抽選」といった複雑な要素が絡んできます。本記事では、初心者でもわかるように、MLBのドラフト制度の全体像とお金の仕組みを解説します!
MLBのドラフト制度について解説いたします。
- スロットマネー制度とは?
- ボーナスプールが定められている
- 最後は日本と同様の抽選で決まる!
「運」「お金」「戦略」が絶妙に絡み合うフロントの知力が問われる舞台です。
MLBドラフト概要
MLBのドラフトは毎年7月中旬ごろに開催されます。
以前は6月開催でしたが、2021年からオールスターウィークと合わせて開催されるようになりました。
- 通常は オールスター前の日曜日から3日間
- MLBネットワークやオンライン配信で中継あり
指名対象選手
- 高校生(卒業見込み)
- 大学生(3年生以上 or 21歳以上)
- ジュニアカレッジ(2年制大学)在籍者
- 特別な条件を満たす外国人選手(ただし別ルートが多い)
→ 日本のように「プロ志望届」制度はないものの、条件を満たせば自動的に指名対象になります。
ドラフトの指名数
MLBのドラフトは、2021年以降全20巡(rounds)構成になりました。
- 1球団につき最大20名まで指名可能(※補償指名などで増減あり)
- 30球団 × 20巡 = 最大600名以上が毎年指名される
- ただし、実際に契約に至るのはそのうち70〜80%前後

1~6位はロッタリー抽選で決定されます。それ以降は前年の成績の悪い順で決まります。
MLBドラフトの特徴
MLBのドラフトは下記の3つの特徴があります。
- スロットマネー制度
- ドラフト抽選制度
- ボーナスプール制度

どの制度も戦力均衡に向けたいろんな工夫です。MLB全体の底上げにつながります。
それではこれらの特徴について、ご紹介していきます。
スロットマネー制度とは?
MLBのドラフトでは、1巡目から10巡目までの各指名順位ごとに「スロット額(目安契約金)」が設定されています。

これは「この順位なら、だいたいこのくらいの金額を提示するのが妥当ですよ」というガイドラインであり、絶対の金額ではありません。
ただし、実際の契約金はこのスロットをもとに交渉されることが多く、ほぼ「参考相場」のような役割を持っています。
ドラフト抽選(ロッタリー)の仕組みとは?
2023年からMLBは、NBAと同じような抽選制(ドラフトロッタリー)を導入しました。

それまでは最下位のチームから選択できる制度でした。
「わざと負けて選択順1位を狙う(タンク)」行為を抑止するため、抽選制度が導入されました。
抽選の基本ルール
- 対象はプレーオフに進出しなかった18球団
- この18球団で全体1位〜6位指名までを抽選で決定
- それ以降は、前年の成績順に並べられる
- 最下位球団の当選確率は最大16.5%
- 同じ確率を持つ下位3球団(16.5% × 3)がトップ指名の本命グループ
興味深い点は「最下位でも1位指名を外す可能性がある」という、運要素を持った仕組みです。
なぜこの制度になったのか?
- 近年「タンク戦略」が問題視されていた(例:オリオールズ、タイガースの連続最下位時代)
- 戦力均衡を保ちつつ、健全な競争を促すために導入
- 抽選は非公開ではなく、MLBネットワークで中継される
2025年のホームラン王争いは下記記事にて毎日更新中
ボーナスプール制度とは
MLBドラフトにおける「契約金の総予算」のこと。
各球団の1巡目〜10巡目の指名順位に応じて設定された「スロット金額」の合計が、その年のボーナスプール(ドラフト予算)になります。
- 上位指名が多い球団ほど予算が多い
- 抽選結果やFA補償でも予算は増減
- 予算内での使い方は球団次第(戦略性あり)
予算を超えて契約するとペナルティが発生するため、フロントの交渉力と計算力がカギ!
過去5年間のボーナスプール上位&下位球団(理由付き)
年 | 予算トップ球団(額) | 理由 | 最下位球団(額) | 理由 |
---|---|---|---|---|
2024 | ガーディアンズ($18.3M) | 抽選で全体1位獲得+複数上位指名権 | ドジャース($5.9M) | 成績上位+FA補償で指名権減 |
2023 | パイレーツ($16.2M) | 全体1位指名(抽選で当選) | アストロズ($6.7M) | 前年ワールドシリーズ優勝チーム |
2022 | オリオールズ($16.9M) | 全体1位指名+戦力補強制限なし | ドジャース($4.2M) | 贅沢税超過+FA補強でペナルティ |
2021 | パイレーツ($14.4M) | 最下位成績で全体1位指名 | アストロズ($5.4M) | サイン盗み制裁で指名権剥奪経験あり |
2020 | タイガース($14.5M) | 明確な最下位で全体1位確定 | ヤンキース($7.0M) | 成績上位&FA補強により指名権削減 |
補足
- トップ球団は、基本的に前年の成績が悪い or 抽選で上位指名権を得た球団
- 下位球団は、強豪チーム+FAで選手を獲得した球団が多い
参考:過去の全体1位選手
全体1位の選手はその年の超絶有望株の選手が選ばれる。過去の全体1位はレジェンドばかりだ!

2025年の全体1位に大注目だ!!
選手名 | 指名年 | 指名球団 | ポジション | 主な実績・特徴 |
---|---|---|---|---|
アレックス・ロドリゲス (A-Rod) | 1993年 | シアトル・ マリナーズ | 遊撃手 | 696本塁打、MVP3回 |
スティーブン・ ストラスバーグ | 2009年 | ワシントン・ ナショナルズ | 投手 | 2019年WS MVP |
ブライス・ハーパー | 2010年 | ワシントン・ ナショナルズ | 外野手 | MVP2回 |
ギャレット・コール | 2011年 | パイレーツ→ アストロズ→ ヤンキース | 投手 | サイ・ヤング賞 |
カルロス・コレア | 2012年 | ヒューストン・ アストロズ | 遊撃手 | 守備職人+打撃も優秀 |
アドリー・ラッチマン | 2019年 | ボルチモア・ オリオールズ | 捕手 | 既に球界トップクラスの捕手 |
スペンサー・ トーケルソン | 2020年 | デトロイト・ タイガース | 一塁手 | 2023年に31本塁打 |
ジャクソン・ホリデイ | 2022年 | ボルチモア・ オリオールズ | 遊撃手 | 史上最高クラスの高卒野手 |
ポール・スキーネス | 2023年 | ピッツバーグ・ パイレーツ | 投手 | 100マイル超の速球 三振マシーン |
まとめ
MLBのドラフト制度は、「運」「お金」「戦略」が絶妙に絡み合う、まさにフロントの知力が問われる舞台です。“メジャー流のシステム”を知ることで、MLBをより深く楽しむことができるようになるはずです。

シンプルに見えて奥が深い。これがMLBのドラフト制度の真髄です。
MLBドラフトの契約金と予算の仕組みは、以下のように整理できます。
- 各指名順位に「スロット額(目安契約金)」が設定されている
- 指名順位は「ロッタリー抽選」で決定される
- そのスロット額の合計が、球団ごとの「ドラフト予算(ボーナスプール)」になる
- 予算を超えるとペナルティがあるため、フロントの「交渉力」と「駆け引き」が鍵
日本のドラフトとはまったく違うこの仕組み、理解するとMLBの選手獲得戦略がぐっと面白く見えてきます。
本日もご覧いただきありがとうございました

MLBとマリオット
アメリカ在住のMLB大好きサンノゼポテトの毎日
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アメリカ西海岸に住むサラリーマン、通称「サンノゼ・ポテト」です!円安と物価高のダブルパンチを受けながら、ちょっとでも生活に「お得」と「楽しさ」をプラスする術を日々研究中です。
趣味はMLBと株式投資。pythonを駆使して、データを分析して、ニンマリすることが休日の楽しみです。
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