
えっ、帰国したらこの口座…使えなくなるんですか?
これは実際に多くの駐在員が帰国前に口にする言葉です。アメリカ駐在中に開設した銀行口座や証券口座を帰国後も使いたいと考える方は多いでしょう。しかしきっちり準備をしないと、突然の口座凍結や資金没収のリスクすら出てきます。
「そんなの誰も教えてくれなかった…」と後悔しないためにも、この記事では、サラリーマンでもわかりやすく実践できる税金対策と凍結回避策、さらに今やっておくべき準備を網羅的に解説します。
米国滞在中のサラリーマンが知っておくべき、銀行口座と証券口座の知識をまとめました。
- 帰国後にアメリカ口座はどうなる?
- アメリカ滞在中にやっておくべき対応
帰国後にアメリカ口座を保有するために
結論から言えば、アメリカの銀行口座や証券口座は帰国後も保有可能です。
ただし、何の準備もせずに帰国してしまうと、口座凍結・税率30%課税・資産没収などのリスクが生じる可能性があります。

アメリカ滞在中にやるべきことは2つだけ。
この2点は必ず確認してください
アメリカ滞在中にやるべきこと
- W-8BENを提出(税率軽減+非居住者登録)
- 帰国後も「海外から保有できるかどうか」を確認
W-8BENフォームの提出
W-8BENフォームの提出により以下の効果があります
- 米国の源泉徴収税率が30% → 10%に軽減(租税条約の適用)
- 帰国後も非居住者として正規に口座維持が可能
これにより、「外国税額控除」でも補いきれない無駄な税金を避けることができます。
海外保有可能かの確認
全ての金融機関が非居住者を受け入れているわけではありません。
帰国後に住所変更しただけで口座凍結された実例も多数あります。

あらかじめ帰国後も口座を維持できるか、サポート体制があるかを事前にチェックしておきましょう
怠った場合のリスク
これらの手続きを怠ると、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。
発生するリスク
リスク内容 | 詳細 |
---|---|
税率が本来より高くなる | W-8BENを未提出だと、アメリカ側で30%の源泉徴収が適用。 日本で外国税額控除しても、取り戻せないケースがある。 |
口座が凍結・利用停止になる | 非居住者を受け入れない銀行や証券会社の場合、 日本の住所を登録しただけで口座が使えなくなるリスクがある。 |
口座が休眠扱いになる | 長期間ログインや入出金取引がないと、休眠口座として、 資金が州政府に移管(Escheat)される恐れがある |
このように、たった2つの事前準備をしておくだけで、帰国後の大きなリスクを回避できます。
一方で、知らずに放置すると資産凍結や税務トラブルにつながるため注意が必要です

ルールを守らない者に残されたのは後悔だけ。
This is America!
任期付きでアメリカに滞在する方にとって、帰国後の資産設計は意外と盲点になりがちです。
ドル資産や米国株を上手に活かすためには、帰国後を見据えた戦略が欠かせません。
良く使用される銀行口座と証券口座まとめ
実際に日本人がよく使っている銀行口座・証券口座の中から、帰国後の維持可否・サポート状況・非居住者対応の有無を一覧にまとめました。

最後にサンノゼポテト的おすすめ組み合わせをご紹介いたします。
これで帰国後のドル資産も安泰だ!!
海外から保有できる代表的な銀行口座【一覧】
銀行名 | 非居住者の保有可否 | 特徴 | 注意点 |
---|---|---|---|
Chase | △ 条件付きで可 | 大手で利便性が高い アプリも◎ | 住所変更後に凍結の事例あり |
Bank of America | △ 可だがサポート不明確 | 日本語対応電話あり | 住所変更の際は慎重に |
Wells Fargo | × 基本不可 | 国内ATM網は広い | 日本在住者への維持不可通知例あり |
HSBC Premier(US) | ◎ グローバル対応 | 日本のHSBCとの連携あり、非居住者に強い | プレミア口座(月額維持費あり)が条件 |
Capital One 360 | × 日本からは不可 | ネットバンク型、 UI良好 | 非居住者登録不可、 即凍結リスクあり |
Citibank US | ◎ 可 | 世界的ブランドで国際対応に強い | 日本のシティバンクとは別扱い。要確認 |
海外から保有できる代表的な証券口座【一覧】
証券会社名 | 非居住者 保有可否 | 特徴 | 日本帰国後も 保有可能? |
---|---|---|---|
IBKR(Interactive Brokers) | ◎ 可能 | 非居住者に最も寛容、 全世界対応 | ◎ |
Charles Schwab | ○ 一部可能 | 米国駐在員人気、 UI・手数料優秀 | ○ (条件付き) |
Firstrade | ◎ 可能 | 日本語サポート、 手数料ゼロ | ◎ |
Fidelity | △ 条件付き | UIは優秀、 日本からの利用は制限 | △ |
TD Ameritrade | △ Schwabへ 統合中 | 移行完了までは不安定 | △ |
E*TRADE | × 非対応 | 日本在住不可。 即凍結のリスクあり | × |
Robinhood | × 原則不可 | スマホ専用で人気。 ゼロ手数料&高速UI | × |
SoFi Invest | × 原則不可 | 若年層に人気 | × |
サンノゼポテト的おすすめ組み合わせ
用途 | おすすめ口座 | ポイント |
---|---|---|
銀行口座 | Chase(条件付き) or HSBC US | UXが良く、国際対応あり。 Chaseは慎重に運用すべし |
証券口座 | IBKR or Firstrade | 非居住者対応。サポート体制も整備。 |
Chase銀行アプリを持つ場合は以下の点に要注意だ。グレーではあるが、、、多くの人がそうしているようだ。
帰国後に発生する税金とその対処法
アメリカで得た収入だからといって、帰国後に無関係ではいられません。
日本に戻った瞬間から、アメリカ口座の「配当金」や「利子」も、日本の課税対象になります。

日本居住者になれば全世界所得が課税対象
ここでは、アメリカ側と日本側、それぞれで必要になる税金対応を整理します。
アメリカ側の課税:源泉徴収で基本的に完結
アメリカの金融機関は、日本との租税条約に基づいて源泉徴収(税金の自動天引き)を行います。
そのため、アメリカで確定申告をする必要は基本的にありません。
項目 | 税率(W-8BEN提出時) | 内容 |
---|---|---|
米国株の配当 | 10% | 租税条約により軽減 (未提出なら30%) |
銀行預金の利子 | 0〜10% | 非居住者扱いなら非課税も (銀行制度による) |
ポイント
- W-8BENを提出していることが前提条件
- 提出していないと、米国配当が30%課税になるため、損します。
きっちりと対応することでアメリカでの税金対応は不要だ!
日本側での対応:「確定申告」が必要になるケース
帰国して「日本居住者」に戻ると、アメリカの金融口座で得た収入も、日本で課税対象になります。
対象所得 | 日本での課税方法 | 確定申告の必要性 |
---|---|---|
米国株の配当金 | 申告分離課税 (20.315%) | 必要 (外国税額控除の対象) |
銀行預金の利子 | 総合課税 | 所得額により必要 |
米国株・ETFの売却益 | 申告分離課税 | 年間20万円以上で必要 |
すでにアメリカ側で税金が引かれていても、日本でも課税されるため、「外国税額控除」を使って二重課税を避けることが非常に重要です。

とにかく大事なのは「アメリカの配当金や利子も、日本で課税対象になる」ってことを忘れないで!
申告分離課税とは?
配当金や株式の売却益は、「申告分離課税」として扱われます。
これは、給与などの他の所得と分けて課税されるため、税率の上昇を防げる制度です。
区分 | 対象となる所得 | 課税方式 | 税率 |
---|---|---|---|
総合課税 | 給与、事業所得、 預金利子など | 所得合算+累進課税 | 最大55% (住民税含む) |
申告分離課税 | 上場株式の配当・ 譲渡益など | 他の所得と分離して課税 | 一律20.315% |

ただし確定申告で「申告分離課税を選択」して初めて適用されます。
自分で申告区分を選ぶ必要がある点についてはご認識をお願いいたします。数字だけだとわかりにくいと思うので、具体例を挙げてみます!とにかく税率面で優遇される制度です。
例:申告分離課税の効果
年収 | 配当収入 | 総合課税(損) | 申告分離課税(得) |
---|---|---|---|
1,200万円 | 10万円 | 約40% → 約4万円の税金 | 20.315% → 約2万円の税金 |
これだけで約2万円近く節税になることも。配当額が20万円、30万円となると、節税インパクトはますます大きくなります。

まぁ私は年収1,200万円には全然届きませんがね・・・。
まとめ:申告分離課税
- 申告分離課税は「自分で選択」しないと適用されない
- 年収が高い人ほど、税率差で大きな節税効果がある
- 海外証券口座の配当や売却益でも適用可能
- e-Taxで簡単に申告可能(外国税額控除も併用)
銀行口座・証券口座の凍結の具体例は?
特に注意したいのはアメリカの銀行口座の凍結リスクです。規約違反や放置によって、資金が突然使えなくなり、最悪の場合は没収されることもあります。

せっかく貯めた資産を急に没収されるなんて、想像しただけで吐き気が・・・。ここでは具体例を何点か挙げてみます。
アメリカの金融機関は、日本のように「お知らせ → 確認 → 警告 → 再通知」なんて、やさしい段階的アラートは存在しません。
たとえば、以下のような状況がひとつでもあれば、予告なく「凍結→資金没収」のコンボが発動されることがあります。
- 長期間ログインしていない
- 書類提出(W-8BENなど)を怠った
- 居住地ルールを違反している
- VPNなどからのアクセスで不審ログインと判断される

ルールを守らない者に残されたのは後悔だけ。
This is America!
しかも一度凍結・没収が行われると、資金の回収はほぼ不可能。
これがEscheat law(資産移管制度)によるものです。
資金は「未請求資産」として州政府に吸収され、手続きを経ても戻らないことが多いのです。
よくある凍結・停止のケース
原因 | 内容 | 対策 |
---|---|---|
日本の住所へ変更 | 銀行規約上「非対応」とされる | 非居住者扱いでの継続利用を確認 |
書類未提出 | W-8BENなどの提出忘れ | 提出期限を守る、PDF控え保存 |
長期間未利用 | 数年間ログイン・取引なし | 年1回はログインか少額取引を実施 |
海外アクセス | 不審アクセスとみなされロック | VPNや日本IPに注意、 電話連絡手段を準備 |
「休眠口座」として凍結された場合、預金残高が州政府に移管される(Escheat law)こともあるため、放置は禁物です。ログイン忘れで資産没収なんて悲しすぎますよね。

アメリカの金融口座は「気を抜いたら終わり」。
逆にちゃんと管理すれば、一生モノの資産インフラになるんです。
まとめ:帰国後に後悔しないためのポイント
- 銀行・証券ともに非居住者OKかを事前確認
- W-8BENを口座ごとに提出(証券・銀行それぞれ別)
- 出来ればログイン履歴・取引を年1回は記録
- 銀行口座は最低限の残高・デビットカード更新の期限管理も忘れずに
アメリカ駐在中に開設した口座を将来も資産運用に活用したいなら、税制・凍結リスク・申告方法を事前に理解しておくことが重要です。日本に戻ったからといって全て解約する必要はありませんが、適切な対応をしないと、想定外のトラブルに巻き込まれる可能性もあります。

今のうちにやっておくべき準備をしっかり行い、将来も安心してドル資産を管理できる体制を整えておきましょう。
本日もご覧いただきありがとうございました

MLBとマリオット
アメリカ在住のMLB大好きサンノゼポテトの毎日
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アメリカ西海岸に住むサラリーマン、通称「サンノゼ・ポテト」です!円安と物価高のダブルパンチを受けながら、ちょっとでも生活に「お得」と「楽しさ」をプラスする術を日々研究中です。
趣味はMLBと株式投資。pythonを駆使して、データを分析して、ニンマリすることが休日の楽しみです。
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